2016年3月19日土曜日

モンティーミヨシ小説:花の女子アナ光と影:第2回:新連載

 野路由紀子は民放東京キー局入社五年目で花形看板アナウンサーだが、楽にこの地位を築いたわけではなかった。
 今でも入社したての頃を思い出すと涙が溢れる。
野路由紀子は東京の山の手の出身だが、母親は東京の下町出身である。当然由紀子もその喋り方を受け継ぐ。
 由紀子は民放東京キー局に入社した時先輩女子アナから、
「あなた落語家に弟子入りしたほうがよかったのでは」
 こうからかわれた。
涙をこぼしながら、
「私の喋りってそんなに落語なんですか」
 と先輩に尋ねると、
「ええ、今からでも遅くない。女落語家を目指したら」
 よくこう言われたものだ。
由紀子は、
「私は負けない。絶対に花形女子アナになってやる」
 こう誓うのだった。

0 件のコメント:

コメントを投稿