2012年4月21日土曜日

小説 広島の女 真理の夜 第8回

真理の情念は火を噴いていた。同僚の夫を全裸にして覆いかぶさり激しい愛撫を繰り返していた。
同僚の夫由紀夫は真理の愛撫が心地いいのか、体を震わせて、
「あー、あー、あー、あー、あー」
 と激しいうめき声を出している。
その声に真理は激しく反応して、
「あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ」
 と身もだえするのだった。
真理の声は喘いでいるというより吠えているという表現がぴったりである。
「ああ由紀夫はもう私のもの」
 真理は飢えたメス猫になっていた。
由紀夫の手が優しく真理の乳房を愛撫すると真理の口から、
「ああいい、ああいい、ああいい、ああいい」
 と言う激しい喘ぎ声が洩れたのだった。
「もっと、もっと、もっと、もっと」
 真理はさらなる愛撫を由紀夫にせがむ。
由紀夫も身を揺さぶって激しく興奮している。
「ああ、燃える。あああああ」
 と激しい喘ぎ声を洩らすのだった。
真理と由紀夫の情念がぶつかりあっている。

2012年4月20日金曜日

小説 広島の女 真理の夜 第7回

真理は自分の欲望に負けた。
「同僚の、しかも同じ学校に勤務する女性教師の夫と不倫関係になったのだ」
 真理は自分に言い聞かせた。
「私は恋多き女なのだ。魔性の女なのだ。恋をして何が悪い」
 必死で後ろめたい自分の心を慰めるのだった。
常日頃、
「この男と愛し合ってみたい」
 真理にはこの欲望が渦巻いている。
「私の欲望が満たされる時が来たのだ」
 燃え上がった恋の炎は消えない。
目の前の愛のセレモニーの事しか頭にない。
真理はベッドで裸になると、自分から同僚の夫に覆いかぶさってこの男性の全身を激しく愛撫するのだった。
「燃えに燃えている」
 この表現がぴったりと当てはまるほど激しく男性を愛している。
*この物語りはフィクションです。登場人物は存在しません。

2012年4月19日木曜日

小説 広島の女 真理の夜 第6回

ある夜、真理は同僚の夫と居酒屋ではしゃいでいた。お酒が体を回るほどに、
「ああ、この男と愛の交歓をしたい」
 この考えが真理の頭を支配し始めた。
「ばれたら命が危うい」
 真理は同僚の女性の気象の激しさをよく知っていた。
だが燃え上がってゆく自分の心と体の情熱と欲望には勝てない。
「今日はずっと一緒にいたい」
 真理は露骨に同僚の夫を誘った。
どうもイケメンは女性からの強引なアタックに弱いようである。
「うん・・・・・・・」
 と同意の意志を真理に示すのだった。
真理と同僚の夫との不倫の愛の物語が始まった。

2012年4月16日月曜日

小説 広島の女 真理の夜 第5回

真理は桜が散った広島平和記念公園を歩いていた。元安川のほとりのベンチに座って回りを眺めるとアベックばかりである。
「私は散って行く桜のようにこのまま散るのだろうか。真っ平ごめんだ。必ず大きく咲くぞ」
 心でこう誓うのだが、なすすべはない。
またいつものように歓楽街の居酒屋となった。
真理はため息をつきながら、
「ああ、またいつものパターンか」
 と心の中でこう呟くのだった。
しかしこうするしかほかにする事はない。
チュウハイを飲んでいると、元気が出てくるのだった。

2012年4月15日日曜日

小説 広島の女 真理の夜 第4回

真理は一人寝の夜が耐えられなくなっていた。
仕事が終わると歓楽街へ出かけ意気投合した男性と広島市内のホテルで一泊という生活が続くのだった。
 その場は楽しいのだが、ひとり暮らしのマンションに朝変える時決まって恐ろしいまでの虚しさが襲ってくるのである。
「こんな生活は止めよう」
 朝こう心に誓って家を出るのだが、夜になると足は自然に歓楽街に向かうのだった。そして気に入った男性に色目を使う。
「また真理の夜が始まった」
 真理は自分のしている事に苦笑するのである。しかし押さえる事はできない。

2012年4月13日金曜日

広島の女 真理の夜 第3回

真理は授業をしながら、
「私が教えている十代の女の子に男性を取られてしまうのか」
 最近こんな思いが脳裏によぎるようになった。
「負けたくない」
 こんな思いも。
だが恋愛の戦いにおいて勝つ自信もない。
「I have a big confidence.(私には大いなる自信がある」
 と自分を励ますようにこう言うのだった。
昼間はそれでよかった。だが、夜ベッドの中に入ると真理は、
「恐ろしいまでの孤独と突き上げるような肉欲に襲われるのだった」
 真理はそっと自分の指で燃え上がった自分の肉体を慰めながら、
「だれか私を愛して」
 と心の中で叫ぶのである。

2012年4月12日木曜日

広島の女 真理の夜 第2回

「私が好きになる男性は必ず妻子がいる」
 真理はため息をついた。
「なぜ私だけ」
 友達に相談したら、
「広島のような地方都市なんてこんなものよ」
 と言う。
東京にいる友人に聞いたら、
「東京だって一緒よ。いや世界各国どこでも一緒。恋愛は若い女の子が強いよ」
 と言う。
「三十過ぎたら恋愛できないのか広島は」
 吐き棄てるように真理は言うのだった。
昨日真理は遊びのつもりで五十過ぎの男性に声をかけたら、
「オバサン、いい加減にしてよ」
 と自分の教え子と同じような年代の女の子に怒鳴られてしまった。

2012年4月11日水曜日

広島の女真理の夜 第1回

「やっぱり小林幸子の恋の最初は不倫だったのか」
 真理はテレビのワイドショーを見ながら自分自身に言い聞かすようにこう言った。
「ひと歳とった女性が恋をするとどうしてもスンナリとはいかない。誰かを傷つける。いや傷つけるくらいでは済まない。地獄絵図になる場合もある」
 事実真理の高校の同級生で成績がトップだった女性は大きな病院の医師をしていたが、不倫がばれて広島におれなくなってあてもなく東京に出たが、この情報は東京にも伝わっていて職はなかった。
「因縁つきの僻地で医師として働いている」
 真理は三十歳を過ぎた。
「焦りがないといったら嘘になる」
 高校の同級生の女性が子供を連れて歩いていると、たまらなく羨ましくなるのである。
「でも私は結婚どころか恋を知らない」
 大学を卒業後教師として働いて恋をする暇がなかったのである。
「どう生きたらいいのだ」
 真理は自問自答した。