野路由紀子が民放東京キー局に入社して看板女子アナにのし上がったのには局長の大きな引き
立てがあったからである。
「おれも東京の下町出身で、喋り方が落語だとよく言われた。野路くん、くさらずにがんばれよ」
いつもこう言ってくれたのである。
野路は涙が出るほど嬉しかった。そして入社半年後、
「会社の看板番組の突撃レポーターに抜擢」
この栄誉に輝いたのだった。
入社してだいぶ経つのにろくな仕事が無い先輩女性アナも数多くいる中での抜擢である。
野路由紀子は、東京の下町にも山の手にも詳しい知識をもっている事を評価されたのである。
先輩女子アナの嫉妬は凄かった。
でもこんな事でくじける野路由紀子ではなかった。
先輩女子アナの嫉妬をうけるとき、
「これは自分に対する声援だ」
こう思うのだった。
2016年3月23日水曜日
2016年3月19日土曜日
モンティーミヨシ小説:花の女子アナ光と影:第2回:新連載
野路由紀子は民放東京キー局入社五年目で花形看板アナウンサーだが、楽にこの地位を築いたわけではなかった。
今でも入社したての頃を思い出すと涙が溢れる。
野路由紀子は東京の山の手の出身だが、母親は東京の下町出身である。当然由紀子もその喋り方を受け継ぐ。
由紀子は民放東京キー局に入社した時先輩女子アナから、
「あなた落語家に弟子入りしたほうがよかったのでは」
こうからかわれた。
涙をこぼしながら、
「私の喋りってそんなに落語なんですか」
と先輩に尋ねると、
「ええ、今からでも遅くない。女落語家を目指したら」
よくこう言われたものだ。
由紀子は、
「私は負けない。絶対に花形女子アナになってやる」
こう誓うのだった。
今でも入社したての頃を思い出すと涙が溢れる。
野路由紀子は東京の山の手の出身だが、母親は東京の下町出身である。当然由紀子もその喋り方を受け継ぐ。
由紀子は民放東京キー局に入社した時先輩女子アナから、
「あなた落語家に弟子入りしたほうがよかったのでは」
こうからかわれた。
涙をこぼしながら、
「私の喋りってそんなに落語なんですか」
と先輩に尋ねると、
「ええ、今からでも遅くない。女落語家を目指したら」
よくこう言われたものだ。
由紀子は、
「私は負けない。絶対に花形女子アナになってやる」
こう誓うのだった。
2016年3月18日金曜日
モンティーミヨシ小説:花の女子アナ光と影:第1回:新連載
民放東京キー局の花形女子アナ野路由紀子は入社五年目にして所属する局のエースと呼ばれるようになっていた。
週刊誌にも由紀子の生活は紹介され、人々の羨望の的になっていた。
多くの女子大生は、
「私も将来野路由紀子のようになりたい」
こう言うのである。
由紀子は、
「楽じゃないよ、やめたほうがいい」
心の底でこう叫ぶのだった。
「華やかな世界ほど、舞台裏は恐ろしい怪物が潜むすごい世界だよ」
こうも。
「女子アナは競馬の競走馬のようなもの。走り続けなきゃあいけないのよ」
野路由紀子は入社以来辛かった社会人人生を思い出していた。
週刊誌にも由紀子の生活は紹介され、人々の羨望の的になっていた。
多くの女子大生は、
「私も将来野路由紀子のようになりたい」
こう言うのである。
由紀子は、
「楽じゃないよ、やめたほうがいい」
心の底でこう叫ぶのだった。
「華やかな世界ほど、舞台裏は恐ろしい怪物が潜むすごい世界だよ」
こうも。
「女子アナは競馬の競走馬のようなもの。走り続けなきゃあいけないのよ」
野路由紀子は入社以来辛かった社会人人生を思い出していた。
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